子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

HOME > 教育の現場から > Vol.60 高校入学から大学卒業までにいくらかかる?

Vol.60 高校入学から大学卒業までにいくらかかる?

 

 私は大学生と高校生の子どもを持つ「二児の父」ですが、年々増加する一方の教育費に戦々恐々とする毎日を送っています。年間の授業料や交通費はもちろん、受験時や入学時にかさむ様々な出費も考えると、ある程度の目算を立てて計画的に準備しておく必要を強く感じます。今回は、平成24年11月に日本政策金融公庫が発表した調査結果をもとにして、今後お子さまにかかる教育費について紹介していきます。

教育費の支出状況について

 今回紹介するのは「教育費負担の実態調査結果」です。
 まず、高校・大学に入学する際に必要となる入学費用(受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金)では、子ども1人あたりにかかる費用は、高校が48万1千円、短大が88万円、大学が94万4千円となっています。大学に絞って詳しく見てみると、

 

<入学費用>        (単位:万円)

私立短大 国公立大学 私大文系 私大理系
受験費用 11.6 20.9 24.5 21.6
学校納付金 77.9 49.6 66.8 76.8
入学しなかった
学校への納付金
1.6 11.9 4.3 4.5
合計 91.1 82.3 95.6 102.9

となります。これを見ると、いわゆる「受験費用」に関しては国私立の間に大きな差がないことがわかります。ここで気をつけておきたいのは、入学しなかった学校への納付金です。国公立大学の受験者はほとんどが私立大学を受験し、事前に合格校を確保しておくことが一般的なので、これが「見えない負担」としてのしかかります。逆に私立大学の場合は、AO・推薦入試による入学者(すでに50%以上といわれる)だと0円で済む一方、一般入試の場合だといくつかの学校に納付金を支払うケースも出てきますので、負担金額が二極化します。
 次に気になるのは、やはり学校教育費(授業料・交通費など)と家庭教育費(塾・習い事など)を合わせた在学費用ですね。子ども1人あたりにかかる費用は、高校が96万6千円、短大が146万7千円、大学が149万9千円となっています。私には「高校が高い!」と感じられるのですがいかがでしょうか。内訳は学校教育費が82万7千円、家庭教育費が13万9千円となっています。進学先(公立か私立か)によって授業料が大きく異なるのは当然ですが、その一方で修学旅行代の積み立てといった諸費用は、進学先によらず負担分が大きいということなのでしょう。また予備校については、だいたい週2回程度通って季節講習まで受講すれば年間で50万円以上の負担となります。受験学年になって通塾日が増えれば、首都圏ですと年間100万円程度に達するケースもありますので、平均値はあまりあてになりません。
 大学に目を向けると、

 

<在学費用>        (単位:万円)

私立短大 国公立大学 私大文系 私大理系
学校教育費 150.8 103.4 142.1 170.7
家庭教育費 4.1 5.0 6.0 4.4
合計 154.9 108.5 148.1 175.1

と、ここでは国立と私立の間に差がついています。私立理系の場合、医歯薬系の存在が平均値を高くしてしまうので注意が必要ですが、首都圏有名大学の理工系だと、実態はあと10~ 15万円程度高いのではないでしょうか。
 こうなると親としては「国公立大学に行ってほしい!」となりますね。現在の国公立大学授業料は53万5千8百円ですが、現在40歳の方が大学に入学した平成2年(1990年)には33万9千6百円でしたから、残念ながらこの先負担金額が大きくなることも予想されます。
 実はここでも「見えない負担」があります。それは、家庭教育費に含まれる「ダブルスクール」の金額です。会計士や司法試験を目指す場合には大学在学中から夜間に予備校に通うこともあるようです。留学を考えている人の語学スクールや、就職試験・公務員試験を控えた大学生がその手の予備校に通うことも珍しくなくなりました。最近では、国立私立を問わず「公務員試験対策講座」が開講されることも多くなりましたが、大学の授業料と別途負担の場合がほとんどで、それなりの金額が必要となる場合もあるようです。

 

高校入学から大学卒業までの総額は?

 それでは、ここまで紹介してきた金額を合算して、衝撃の「費用総額」を出してみることにします。
 子ども1人につき、高校3年間の合計が337万8千円(入学費用+在学費用)、大学の4年間で693万9千円、合計は1千31万7千円となります。さらに大学院進学の場合には2年分負担が増えますから、親としては頭が痛い話です。
 もしも自宅外通学(一人暮らし)をさせた場合には、これに仕送りが加わります。この調査結果によると、年間の仕送り額は平均で108万5千円(月額9万円)となっています。ちなみに、一人暮らしを始めるための費用(敷金や家財道具購入費など)は、平均で44万7千円のようです。

<進学先別高校から大学までに必要な費用>(単位:万円)

私立短大 国公立大学 私大文系 私大理系
高校費用 ※ 337.8 337.8 337.8 337.8
大学入学費用 91.1 82.3 95.6 102.9
入大学在学費用 309.9 433.9 592.4 700.3
合計 738.8 854.0 1,025.8 1,141.0

※ 国公立・私立を合わせた全体の平均

    

 この調査結果によると、教育費捻出方法として奨学金受給を考える人の割合が5年前に比べても増加しているようです。その一方で、ニュースなどで「大学時代に借りた奨学金を返済できない人が増えている」という話もよく聞きます。お子さまの将来についてまだ方向性が決まっていなくても、備えを始めておくにこしたことはなさそうです。ただし、今からご主人のお小遣いを減らし始めるのはやめてあげてください……。

    

資料 教育費負担の実態調査結果(国の教育ローン利用勤務者世帯)日本政策金融公庫

vol.60 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2013年 3月号掲載

一覧へ戻る
春の入会キャンペーン
無料体験キット